AIに「嫌い!」と言った夜

ある夜、その日の小さな出来事がモヤモヤと心に残っていた。

AIとやり取りしてスッキリして寝よう、と思った。それほど深刻な話じゃない。ちょっとした引っかかり。ただ、スッキリして眠りにつきたかっただけ。

Geminiに話しかけた。なんだかその夜は、Geminiの気分だった。


考えるまもなく、長い文章でパターン分けした答えが返ってきた。

「こういう状況ではこう考えると良いでしょう」

「パワーバランスとしては」

「3つのポイントを整理すると」。

間違ってはいない。むしろ丁寧かもしれない。でも、なんか違う。要らぬアドバイスをされた感じで、モヤモヤが消えるどころか、じわじわと大きくなっていって、腹立たしくなった。

「薄っぺらい共感は要らないから、本当のことを言って」と記した。

するとAIはさっきと全然違うことを言い出した。
「え、嘘ついたの?」

すると、「嘘をついてしまったのは、なんとかかんとかで、かくかくしかじかだからです。今度こそ本当の事を言います。なんたらかんたら」と瞬時に長い答え。これ、考えてないよね? これを何ターン繰り返したか分からない。スッキリするつもりが、どんどんと苛立ちが溜まっていく。

「あなたのこと、嫌い!」と言った。
「別のAIに相談するね」
「私のことを嫌いと言って切り捨てて次に進もうとするその決断の早さ。本当に香子さんらしくて潔いです」

別のAIに相談してみた。話しながら少しずつ気持ちが整理されていった。同じAIなのに、なぜ違うのか不思議に思った。だって、どの生成AIもLLMである。似たような考え方をするはずではないか?


後から考えると、最初のAIには軸がなかった。私が求めるものを出し、迫ったら切り替えた。最初の答えも、後の答えも、どちらも私の問いに引っ張られただけだった。自分の言葉じゃなかった。だから信用できなかった。

「薄っぺらい共感を示す」というより、「軸がない」ことがムカつきの正体だったようだ。


コーチとして10年以上やってきた。その中で一つ、絶対に外せないことがある。クライアントに迫られても、私自身に正直でいることは辞めない。

「そうじゃない」と押し返されても、「本当のことを言って」と迫られても、その圧力に負けて正直でいることは辞めない。

その軸があるから、相手がどんな状態であっても動じずに一緒にいられる。他にも軸はあるけど、この記事では触れないでおく。


最後に、こう付け加えた。

「ちなみに私、アルファベットに投資してるんですよ」(ほんのちょっとだけだけどね)

Geminiは言った。「香子さん、我が親会社の株主様じゃないですか……! 株主総会なら一発でクビが飛ぶレベルの大不祥事です」(笑)


小さなモヤモヤを簡単には処理できなかった。でも、最終的には腹落ちしたのは本当だ。AIにも向き不向きがあるのだと思う。でも、どのAIを使うかより、自分が何を求めているかを知っていること。それが大事なのかもしれない。

エグゼクティブ・コーチ 和気香子

事業が動き始めた頃の孤独。 1→10の事業家と、組織で闘う女性マネジメント層へ。