明日という効果

コーチングのセッションで、「いつやりますか?」と聞くことが多い。聞くと、一歩目の輪郭がはっきりするから。

聞く時も、時間軸はそのつど変わる。数年かけて向かうものもあれば、今年中のものも、来月までのものもある。クライアントの状況によって、見ている時間軸は違う。でも、その長い絵の中で、まず動くのはいつも、一番近い一歩だ。今日か、明日か。それくらいの近さで、最初の一歩だけを聞くこともある。


でも、その次に会った時、「やりましたか?」とは聞かない。


やろうとして、なんか違うと思ってやめた。代わりに別のことをやった。単純に、気が向かなかった。どの答えだったとしても、聞いてしまえば、それは報告になる。報告になった瞬間、「やりたいこと」は「やるべきこと」に変わる。


人の気持ちは、時間が経てば変わる。決めた瞬間の熱量と、一週間後の自分は、もう別人と言っていい。長期の絵は変わらなくても、そこへの一歩の踏み出し方は、その日の気分でいくらでも変わっていい。それをto doリストのように固定してチェックする仕事は、私のやりたいコーチングではない。


だから、聞かない。言ってくれるのを待つ。


先日、あるクライアントさんが、セッションの中でふと言った。

「先月、明日やる、と決めたことを、本当にやったんです。まあまあ、大きいアクションだったんですけど。明日、という効果はすごいですね。」


聞いていない。追ってもいない。ただ、「いつやりますか」という一言だけを投げかけて、あとは待っていた。それが、こうして本人の口から、改めて言ってもらえてとても嬉しかった。

和気香子|エグゼクティブコーチ

2012年より独立。累計約1,000名のクライアントと向き合ってきた。

「人の気持ちがわかる人、わからない人~アドラー流 8つの感情整理術~」

「人間関係の整理術」

お問合せ

エグゼクティブ・コーチ 和気香子

事業が動き始めた頃、昇進した後の孤独。 1→10の事業家と、組織で闘う女性マネジメント層へ。 経営・対人関係・感情の複雑さを整理し、行動へつなげるエグゼクティブコーチング。