有能な怠け者

ベンチャーユナイテッドというベンチャーキャピタルに、丸山さんというキャピタリストがいらっしゃいます。ベンチャーユナイテッドは以前、ngi capitalという名前だったのですが、その時から現在までの投資先には、沢山のスター銘柄があって、ベンチャーキャピタルとしては歴史もあり、トラックレコードもある素晴らしいところです。

丸山さんはブログ「No Guts, No Growth」を書かれてます。内容も参考になることはもちろんなのですが、言葉の選び方や表現がユニークで、私は好きなんです。毎回読んでいるというよりは気づいたら読むという感じなのですが。大好きな水野敬也のブログも、いつも読むのではなく、気づいたらまとめ読みなので許してください。


この前気づいて読んだのが、「無能な働き者にはなりたくない((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル」でした。ぜひリンクに飛んで読んで頂きたいのですが、丸山さんがその記事でポイントをまとめて下さっているのを引用します。


「有能な怠け者は司令官に、有能な働き者は参謀にせよ。

無能な怠け者は、連絡将校か下級兵士にすべし。

『有能な怠け者』は有能であるが故に事の是非を決することができる。

そして、怠け者であるが故に他人を用いて任せることもできるので上に立つ者として最適である。

『有能な働き者』は事を判断することはできるが、働き者であるが故に他に任せきることができない。

よって、上に立つよりも参謀として輔佐する立場が適当である。

『無能な怠け者』は自分で判断できないし、自ら動こうともしない。

よって、命ぜられたことをそのまま遂行する立場に適任である。

『無能な働き者』は自分で適切な判断もできないのに、勝手に動く。

これは、余計な事をして迷走する者である。

無能な働き者は、すぐに銃殺刑に処せ。」

「有能な怠け者」についてはまさしくそうだなあと感じます。私は恵まれていて、今まで仕えた上司(社長もいるし、事業部門長もいる)は、皆、結果を出していた人です。そして、細かく手を動かすことはしないで、こっちが手を動かして作ったものや考えたものについて、「いいね」とか「もっとこうして欲しい」、「もっと良いアイディアない?」とか指示するのが中心でした。主にやっていたのは、トップ外交や戦略みたいな大きな絵を考えること。

どうやって任せるかは、上司によって異なりました。「これやらないと大変なことになる」的な恐怖心を煽られた場合と、「さすが、和気!」と誉められたり、「なんかいい知恵ない?」とおだてられた場合。どっちも私にはワークしたのですが、前者は短期間で息切れしてしまいました。後者の方がやっぱり好きです。


「有能な怠け者」について、実体験からも納得なのですが、頭で考えても納得です。トップが自分で動いてしまうと、そのトップが組織の天井になってしまうと思うからです。


怠け者というキーワードから更に連想すると、「僕は怠け者だから、他の人と競争したくなくて、競争のない事業を選んだんですよ」と、ある経営者から聞いたことがあります。その方は今までなかった新しいビジネスを生み出したんですね。聞いたのは随分前で、その頃は「怠け者なのに起業するの?」とピンときませんでしたが、今となってはピンときます。怠け者だから、いかに楽して儲けるかってことを真剣に考えられ、だから、誰も考え付かない新しいアイディアを思いついたりするのではと考えてます。働き者だと、何にでも真正面から取り組んでしまうので、「うまいこと考えたね~」的なアイディアは出てきにくいかと。

私自身も独立した今、「いかに稼働率を低くして生産性高く働くか」ってこと常に考えてます(笑)。そして、丸山さんの書かれたように「無能な働き者」にはなりたくないですね~。なりたいのは、有能な怠け者→無能な怠け者→有能な働き者→無能な働き者、の順でしょうか。





エグゼクティブ・コーチ 和気香子

経営者向けコーチング。 自分らしいキャリアを歩みたい人のためのオンラインサロン。