ターゲットなんて決めなくていい

起業中の人にコーチングすると、時々テーマになるのが「ターゲットが決められなくて次のアクションが取れない」ことです。

コンサルや周りの人に「ニッチなターゲットを定めるべき」、「ペルソナを作るべき」等と言われ、その意見に従って、明確で明確なターゲット像を設定しようとするのですが、像を作ってはみるものの、自分の心にしっくりくるものではなくて、もっとしっくりくるものを探そうとして前に進まないという状況です。ターゲット像を明確にしてからじゃないと情報発信やサービスインをしてはならないと思い込まされちゃってるんですね。

そういう話を聞くと腹が立ちます。より知識や経験を持った人としての位置づけで、自分の視野の狭い考えを押し付けて、それが相手の行動を阻むという結果につながることに気づかない無神経な人たちに。「ニッチなターゲット像やペルソナを作る」のも商品やサービスを売っていくためのステップの選択肢ではありますが、必ずしもそうではありません。大きな企業でたくさんの人を巻き込んで新しいサービスや商品を開始する場合には便利なことはあります。上司を含む社内や広告宣伝を担当する広告代理店に説明し、”売り手”として共通認識を持てるからです。「アラサー女性。恋もキャリアも手に入れたいけれど、何をしていいか分からない。成長意欲があって、オフに英会話の勉強をしたり、資格講座を受けている。趣味はヨガ。東京への通勤圏に両親と住む」のようなことを決めると、さあ、どんな雑誌に広告を出そう、どんなクリエイティブにしよう等が考えられるからです。

でも、起業の場合は話が異なります。もちろん、納得いくニッチなターゲット像やペルソナを作れれば、それに合わせて、SNSで発信するコンテンツのテイストを作れますし、場合によってはそれらのターゲット向けに少額の広告宣伝も出来ます。否定はしません。一方で、そんなの決まってなくても大丈夫なんですね。まずは自分が何のために起業をするのか、どんな価値を提供したいのか、それが分かっていればサービスや商品は作れますし、発信も出来ます。発信していくなかで、「こんな人達が反応するんだ」、「私はこんな人が買ってくれたら嬉しいんだ」と徐々に明確になっていきます。幾つかのターゲットを想定して発信するテストをしてもいいですし。起業はとにかくスピード早く色々試すことの方が大切です。

私自身もコーチングで独立する時に、詳細なターゲット像を定めた方が良いと言われ、考えたものの心から納得いくものを決められなかったので、「経営者」、「キャリアに悩む人」位の大雑把なところで始めました。実際にやっていく中で、「ベンチャー企業及びスタートアップの経営者」、「キャリアに前向きに悩む人」と変わっていきましたが、依然、年齢や性別などのデモグラフィックなところは空白なままです。”誰々”というよりも、”私のコーチングや考えに共感してくれる人”がターゲットになっていて、自分をブランディングしているとも言えるかもしれません。

冒頭に書いた「ターゲットが決められなくて次のアクションが取れない」ような場合、「どうしてそのビジネスを始めようと思ったのか?」について話を聞いていくと、素晴らしい理由があり、その理由の中にはたいてい”大まかなターゲット像”も入っており、それで商品やサービスを作ったり発信をしてくのに十分であることが分かることが殆どです。そして、「いま言った想いを発信してみたら? そんなペルソナなんて作らなくていいから。段々と分かってくるから」と提案してみると、「そうですね! それならば進めそうです」と仰います。

ビジネスには正解はありません。成果が出ればそれがその人にとっての正解です。幾ら世の中でいい方法と言われていることでも、取り入れようとすると動けないのでは意味がありません。自分が動きたくなる、やりたくなる方法を見つけてくださいね。動くことがとても大切です。


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エグゼクティブ・コーチ 和気香子

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