先延ばしにしていい、という信頼

先延ばしは、良くないこととされている。

でも、先日、あるクライアントがこう言ってくれた。

ちゃんと考えなきゃいけないことがある。でも時間が取れなかったり、一人で向き合うには少し厄介だったりする。そういうとき、「コーチングのときに考えればいい」と後回しにできるのも、コーチングの良さですねと。

嬉しかった反面、「へえ、そういう捉え方もあるのか」と思った。でもよく考えると、これはコーチングの「場」について、本質的なことを言っている。普通、先延ばしは「逃げ」だ。向き合うべきものから目を逸らして、いつか自分を苦しめる負債になる。だから先延ばしは克服すべきものとして語られる。


でも彼が言っていたのは、それとは違う。逃げているわけじゃない。「あそこに行けば、ちゃんと考えられる」という場所がある。だから今は、手放していい。


これは、預け先があるということだ。


たいして望んでもいなかったのに、なんとなく流れでやってしまったこと。あとから、あれ、なんであんなことしたんだろうと引っかかる。そういう小さな違和感を、一人で抱えて答えを急がなくていい。信頼できる預け先があれば、人は驚くほど身軽になれる。


もし私が答えを差し出す人だったら、こうはならなかった気がする。答えをもらう場所には、預けられない。次に行ったときに何が返ってくるかわからないから。でも、問いの向きを一緒に探す場所には、預けられる。何が出てくるかはわからなくても、ちゃんと考えられるということだけは、わかっているから。


先延ばしにできることが、信頼になる場所があるのかもしれない。

和気香子|エグゼクティブコーチ

2012年より独立。累計約1,000名のクライアントと向き合ってきた。

「人の気持ちがわかる人、わからない人~アドラー流 8つの感情整理術~」

「人間関係の整理術」

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エグゼクティブ・コーチ 和気香子

事業が動き始めた頃、昇進した後の孤独。 1→10の事業家と、組織で闘う女性マネジメント層へ。 経営・対人関係・感情の複雑さを整理し、行動へつなげるエグゼクティブコーチング。