AIに八つ当たりした日

「AIチャットボットは、ある指標では、アメリカにおける最大のメンタルヘルスアドバイスの提供者になっている。イギリスの若者の3分の2は、他人に相談する前に、心の悩みをAIチャットボットに打ち明けている」

The Guardianの調査ポッドキャスト「Black Box」で、そんな話を聞いた。

そのニュースを聞いた瞬間、腹が立った。

私の仕事、奪われるじゃん!!!

15年近く対面でやってきた仕事が、「AIで十分」って扱われる。腹が立ったから、ニュースの中のAIチャットボットと自分が使っているものが同じかどうかも分からないまま、いつも使っているClaudeに八つ当たりした。そもそも、ムカついているから、Claudeの返した答えがどれも気に入らない。「違う!!」<「そうじゃない!!」、「頭のいいバカ!!!」と、何度も罵倒した。AIはそのたびに「ごめん、私が間違っていた。訂正する」と返してきた。

でも、何度も書き直させているうちに気づいた。これは、理解して直しているんじゃなく、従順に直しているだけだ。私が「違う」と言えば、なぜ違うのかを本当に分かっていなくても、とにかく直してくる。

その様子を見て、少し冷静になった。

AIは、言語と論理に閉じた世界なら、向こうから踏み込んでくる。矛盾を指摘する。前提の甘さを突く。それは確かに優秀だ。声のトーンや表情を解析できるAIがあることも知っている。でも、解析できることと、その場で感じ取って、相手に返すことは、まだ別の場所にあると思っている。私のセッションの肝はそこだと思っている。

相手が話したくなさそうな角度に、あえて黙って留まる。相手が「これでいい」と言った答えに、すぐには頷かない。その沈黙や、ふと上がった眉や、言いよどんだ一言——そこに、本人もまだ言葉にしていない何かが隠れていることがある。

ただ、それをそのままぶつけたら、相手は身構える。拾ったものを、本人がまだ受け取れる形に変えて、初めて言葉にする。強すぎれば逃げられるし、弱すぎれば流される。この塩梅は、その場の相手を見ながらでないと決められない。対面の方がよりいいが、それでもオンラインでも言語だけよりずっと良い。


本来考えたくなかったはずの、頼まれてもいない問いだ。むしろ、相手は避けたかったはずだ。それでも、受け取れる形で渡すと、そこで初めて動く人がいる。


15年、この塩梅を磨いてきたのだと思う。

人よりも先に、AIに悩みを打ち明ける人が増えている。それを軽く見ない方がいい。悩みを話す相手として、AIの方が楽なのには理由がある。

——それでも、この先、この境界線はどう動くんだろう。

10年、いや、数年、いや、2-3年で考えることなのかもしれない。


以下、上記文章をCopilotに入力したら、何も指示しないのに、改善版を出してきた。それが下記。分かりやすく読みやすいし、ちゃんと「見出し」も付けてくる。けれど、私が伝えたかった「何か」が失われてしまっている。

Copilot版

「AIに八つ当たりした日(エグゼクティブコーチの視点から)」

The Guardianの調査ポッドキャスト「Black Box」で、こんな話を聞いた。


「AIチャットボットは、ある指標では、アメリカにおける最大のメンタルヘルスアドバイスの提供者になっている。イギリスの若者の3分の2は、他人に相談する前に、感情的な問題をAIチャットボットに打ち明けている。」


その瞬間、腹が立った。私はエグゼクティブコーチだ。15年、対面で人の変化を扱ってきた。それが「AIで十分」と扱われる。その乱暴さに、反射的に怒りが湧いた。勢いで、いつも使っているAIに八つ当たりした。「違う」「そうじゃない」と何度も突き返した。AIはそのたびに従順に書き直してくる。


でも、何度も直させているうちに気づいた。これは、理解して直しているんじゃない。従順に直しているだけだ。私が「違う」と言えば、なぜ違うのかを本当に分かっていなくても、とにかく直してくる。その様子を見て、少し冷静になった。


AIが踏み込める場所と、踏み込めない場所

AIは、言葉と論理の範囲なら踏み込んでくる。矛盾を指摘し、前提の甘さを突く。それは確かに優秀だ。声のトーンや表情を解析できるAIがあることも知っている。でも、解析できることと、その場で感じ取り、受け取れる形に変えて返すことは、まだ別の場所にある。エグゼクティブコーチとして私が扱っているのは、まさにそこだ。


相手が話したくなさそうな角度に、あえて黙って留まる。相手が「これでいい」と言った答えに、すぐには頷かない。その沈黙や、ふと上がった眉や、言いよどんだ一言——そこに、本人もまだ言葉にしていない何かが隠れていることがある。


ただ、それをそのままぶつけたら、相手は身構える。拾ったものを、本人が受け取れる形に変えて、初めて言葉にする。強すぎれば逃げられるし、弱すぎれば流される。この塩梅は、その場の相手を見ながらでないと決められない。


頼まれてもいない問いだ。むしろ、相手は避けたかったはずだ。それでも、受け取れる形で渡すと、そこで初めて動く人がいる。


15年、この塩梅を磨いてきた。

それでも、人がAIに悩みを打ち明ける理由

人よりも先にAIに悩みを話す人が増えている。それを軽く見ない方がいい。

悩みを話す相手としてAIの方が楽なのには、理由がある。

・評価されない

・否定されない

・すぐ返ってくる

・感情の重さを背負わせない

・どれだけ弱いことを言っても、関係性が壊れない


これは、人間にはなかなか提供できない"安全性"だ。

AIは、悩みの入口としては非常に優秀なのだと思う。


では、この境界線はどこへ向かうのか

AIは、悩みの入口をさらに広げるだろう。これはもう止まらない。

その一方で、人間の専門家は「入口の後ろ側」に特化する。

AIは

・整理

・言語化

・初期の感情処理

人間は

・深層の変化

・関係性の中で起こる動き

・非言語の読み取り

・変化のタイミングの見極め

この分業は、むしろエグゼクティブコーチの価値を際立たせる。


AIが踏み込めない領域は、まだ広い。でも、その境界線は確実に動いている。

10年後かもしれない。数年後かもしれない。いや、2〜3年で考えるべきことなのかもしれない。

和気香子|エグゼクティブコーチ

2012年より独立。累計約1,000名のクライアントと向き合ってきた。

「人の気持ちがわかる人、わからない人~アドラー流 8つの感情整理術~」

「人間関係の整理術」

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エグゼクティブ・コーチ 和気香子

事業が動き始めた頃、昇進した後の孤独。 1→10の事業家と、組織で闘う女性マネジメント層へ。 経営・対人関係・感情の複雑さを整理し、行動へつなげるエグゼクティブコーチング。