上位概念を考え抜く

この前、01Boosterというコーポレート・アクセラレーターを運営する会社のGoda Georgeさんが、起業中の人に伝えた言葉がとても印象に残りました。

起業家が、「自分たちのビジネスは●●で、それは、こういう背景があって~~」とディテールを説明していたとき。

「本当は何がやりたいんですか?

今仰っていることは手段ですよね。

上位概念はなんですか?」


欧米の企業は、哲学的思考もしたうえで、上位概念からちゃんと考えてくるそうです。日本企業は、課題を与えられれば、それに対する素晴らしいソリューションを提供することは得意ですが、自分から課題を考えることは苦手だとのこと。そうすると、日本企業は”受注”に終始してしまう。上位概念を考え、上流に居る欧米の企業に勝てない。受注だとしても、そのシェアでトップを取っていく戦略もありますが、利益率は上流の方がたいてい上ですし、戦略的に受注に徹するならばいいですが、知らず知らずそうなっているのは悲しいですね。

Godaさんはアップルの例を挙げられてました。iPhoneなんて日本のメーカー、作れる技術は持ってる。でも、作れなかった。今はいいとこ、その部品のサプライヤーである。そうなんですよね。「こんな技術開発したけどまだ使ってないから」、「お客様アンケートにこんな声がある」、「トップや上司がこんなことやれという」、これらを足し算して出来上がったものが画期的なものになるわけもないです。スティーブ・ジョブスの「これがあったら絶対にいいんだ! 世の中が変わるんだ」という強い想いには負けちゃいます。

なぜ、それをやるのか? Raison d'êtreは何か? どうしてそのRaison d'êtreなのか?

 

最初が「こんなもんあったらいいな」、「これ、作りたい」といったフラッシュアイディアや思いこみでもいいのですが、それを深く高く昇華させて確固としたものにしておかないと、困難な局面、難しい判断を下すとき、目先のことに囚われて、ブレてしまいます。ミッションやビジョン、基本理念、そういったものの大切さはここなんですね。経営者は、その大切さを口では言ってますが、本当に大切だと理解して行動している人、少ないように感じます。考え抜いてないし、他の人に共有できてないし。ここに時間を使ってほしいなと思います。日々のオペレーションも大切ですが、CEOの一番の仕事は、ここじゃないでしょうか。

エグゼクティブ・コーチ 和気香子

経営者向けコーチング。 自分らしいキャリアを歩みたい人のためのオンラインサロン。